ふざけ倒して会計士になった人

あなたが、今、このブログをみているということは、私はもうふざけてないかもしれません。

会計士・監査人って何がいいのか

公認会計士って何がいいのか?」

僕は会計士資格を取り、監査法人に入りましたが、たまに頭をよぎる疑問です。

 

たぶん、どの職業の方も、自分の職業って何がいいんだろう?と思うのかもしれませんが、仕事をやるうえでの1つの尺度は「お金」だと思います。

そして、「やりがい」「成長」「知識」といった自分自身の価値を高める部分も尺度だと思います。

 

まねー

まず、「お金」ですが、会計士の給料は生涯年収は良いのかもしれませんが、入社から10年程度では他の職業と大差はないのかもしれません。数年前までは、仕事はいくらでもあり、残業はどのくらいでもできる程課題は山積みでした。ここまでの時代は1年の半分くらいは残業で追い込んで、残り半分は適度に残業したり長期休暇で旅行したりして、年収は残業+ボーナスで年間の基本給の倍以上になればいいかなという考えでしたが、働き方改革によりさほどそこの伸びは期待できなくなっています。

となると、ストイックな人は、監査法人で経験を積み、他へ転職してキャリアを生かしていくというケースが多くなっていくのかと思います。

しかし、会計士取るまでに、1発合格しても予備校で50万円前後、数年かかれば100万円前後でさらに数年働いていないため、機会原価(ここでは、本来働いていれば得られたが、勉強に労力を割いているために得られない給料部分)が年間少なくとも300、400万円ほど生じるので、仮に合格までに3年かかったとしたら、1000万円くらい初期投資がかかっている計算になります。

試験に合格するまでが初期投資みたいなもので、合格できなければかなりの経済面ではかなりのマイナスになってしまうというリスクがあります。が、ここで得られた経験・知識が生涯他の職業で役に立つことで会計の知識×〇〇と相乗効果が生まれて、結果的に会計士合格して監査法人に入るよりはるかに稼げた という結果もありえますが。

そして、公認会計士は合格してからも常に新しい会計や監査の基準のキャッチアップ。さまざまな業界の情報収集が必要なので、働いてる時間以外にも自己研鑽は必要です。その水準感のため他人よりずば抜けるにはかなりの負荷が必要だと感じています。

 

てんしょく

実際に監査法人で働いて、しっくりくれば天職ですが、残念ながら合わなければ転職になります。

しかし、監査や会計の経験を積むとどうしても、会計のプロフェッショナルとしてアドバンテージが取れる職業に転職しがちです。一般会社の経理しかり、コンサルティング、アドバイザリーしかり。
これは、ゲームでいうとポケモンならずっとポケモンシリーズだけ。ストリートファイターならずっとストリートファイターだけで遊ぶようなものだと思っています。

ぶっちゃけ、今の時代はそういった会計畑という土地はかなり開拓されているので需要はありますが、常に耕された状態の土地なので、給料は良くなったとしても登り詰めていくのは難しいのかもしれません。
初代からポケモンシリーズをやってたり、鉄拳シリーズをやってれば王者でいられますか?日本や世界一という王者の称号を取るには天性の素質も大きくかかわってくるとおもいます。

せっかくなれた会計のプロフェッショナルという地位はなかなか捨てにくいもの。これを捨てて全く別の経験を積むのもありだと思います。これはリスクが大きいですが、もし全く新しいスキルが身に付けば、それ×会計スキルと相乗効果が生まれます。

そういった意味では、会計にかぎらずみなさんが持ってる今持ってる地位・スキルは①その道で極めるもよし、②他の地位・スキルをまた築き上げてつなぎ合わせてもよしだと思います。
ポケモンをやってたら、ドラクエやFFをやってみてもいいですし、ストリートファイターをやっていたら鉄拳やスマブラもやってみてもいいと思いますし、全く別のパワプロ君やウイイレでもいいと思います。どのゲームも適度に強い人がちやほやされたりしますよね。

転職=前職のスキルが活かせないといけないという縛りはなしでいいのかなと思います。

 

やりがい・成長・知識

やはり会計士として監査法人となったからにはこの部分が大きいのかと思います。

まず、社会のためという部分では、株式市場や会社の信用力を測るために公平公正な立場でジャッジする役割は必要です。サッカーや野球で日本VSアメリカだったときに、審判がいなかったら、もはや試合が成り立たないのではないでしょうか。はたまた、審判が日本人かアメリカ人だったら公平なジャッジができるのでしょうか。はたまた観客は気持ちよくその試合に熱中できるのでしょうか。
というところで、参加国以外の公正公平な審判は絶対必要です。監査人は経済全体が気持ちよく仕事していけるようにお金の動きを常に見張り、時にはレッドカードを出したりしてフェアな経済を守ります。これは誰でもできるわけではなく、公認会計士という免許を持っていることが必要であり、使命感はあると思います。

さらに成長や知識の部分はかなり大きいと思います。誰もが知っている経営者や有名企業が相手になるわけなので、スポーツ界でいうイチローやタイガーウッズ、メッシという大スターに対して臆することなく正当にジャッジする力が必要です。

その業界・技術などの知識がなければ、頑張れば実現可能なのか絵にかいた餅なのか。実際にその業績を出しているのか、粉飾(反則)をこっそりしていないかを見抜けません。ボクシングなどの格闘技で片方の選手の反則に気づけないレフェリーがいたとしたら、反則を受けた選手の選手生命が絶たれるほどの大惨事も起こります。これの経済バージョンが会計不正であり粉飾事件です。サッカーの審判がボールの動きを追いながら22人の挙動をすべて追うことは難しく、絶対に観なければならないポイントをしっかり押さえ続けなければいけないように、監査も会社の動きをすべて見ることは難しい中でも重要なポイントを想像力を十分に張り巡らして見抜いてしっかりジャッジする。

これを見抜く眼力を養うところに成長があるとおもいます。あらゆる物事を客観的に分析する中立的な目線。経済の動きが1つの会社に及ぼす影響(またはその反対)。その計画が本当に実現可能なのか未来を見通す力。会計監査に限られた範囲ですが、この力や洞察力を養えることはかなり貴重な体験だとおもいます。
審判が判断ミスや反則に気づかなかったら大きくたたかれるように、試合が正常に進んで当たり前。当たり前を保ち続けるという使命が原動力になって自分を高めることにつながるはかなりのメリットです。

さらに踏み込んで言うと、会社が不正をおこなおうとした兆候をいち早く察知して、犯行を未然に防ぐことで、誰も不幸な思いをさせないようにすることが大切だと思っています(内部統制、権限の幅、企業の健康状態などにも目を配る)。

 

なにがいいんだ!?

会計や監査という専門的な知識と経験が積めることは当然に良いと思います。が、それ自体が生きがいや人生の目標になれる人は少ない。

そのうえで、常に情報を収集する力、収集した情報を特定の物事に落とし込む想像力、1ある情報から2,3を予想してその裏(真意)を見極める洞察力などが身につく点が良いと思います。そして、何に対しても興味を持ち続けることがどんな社会の変化にも対応していける原動力になるのではないでしょうか。

 

僕は、会計士というジャンルはもっといろんな分野に応用できると思っています。
世間での会計士・監査人に対する認識があまり明確になってない以上、かなりの可能性秘められているのではないでしょうか。