ふざけ倒して会計士になった人

あなたが、今、このブログをみているということは、私はもうふざけてないかもしれません。

空飛ぶタイヤの怒涛のストーリ展開に、前のめりになりすぎた結果

寄っといで 巨大都市(でっかいまち)へ

戦場で夢を見たかい?

しんどいね 生存競争(いきていくの)は

酔いどれ 涙で夜が明ける

 

で有名な、サザンオールスターズの「戦う戦士(もの)たちへ愛を込めて」といえば空飛ぶタイヤです!

 

この主題歌がどうも気に入ってしまって、映画「空飛ぶタイヤ」を観ました。

 

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特に前知識もなかったので、キャストの豪華さにびっくりしました。

ディーン・フジオカムロツヨシなど惹かれる演技の名俳優が多くとてもたのしかったです。

 

内容としては、とても豪華なスペシャルドラマというようなものでした。

映画として期待してるような、臨場感や疾走感、心情の転換を引き立てる挿入歌や、

たとえば、孤独感を掻き立てる唸るようなアスファルトを歩く足音や、車を停車させるブレーキ音→サイドブレーキ音→エンジンを切る音などのような細かい音の使い方はなかったような気がします。(内容が濃すぎて映画の醍醐味に意識がいってなかったのだとしたらあっぱれすぎます。)

 

小説でいうと上巻・下巻で総計1,000ページ程あろうかという原作を2時間程度の映画に凝縮しているため、ストーリー展開は超濃厚だと思います!

相当ギュッと詰め込んだのだと思われますが、「映画」にはかかせない無くてもいいような音や動作をあえて表現するという遊びの部分は大幅にカットされているのだと思います。

展開が早く、飽きさせない工夫が多いですが、大企業の様々な部署やそれにともなう登場人物の多さもあって、集中してないと「この人はどういう人だっけ?」と登場人物迷子になりかねず、頭をフル回転できる映画でした。

 

赤松運輸という配送会社の社長が主人公で、天気のいいある日運送中のトラックが事故を起こし、歩道を歩いていた親子のうち、母親が即死・子供が軽傷(幸いにもかすり傷程度)を負ったという知らせが主人公に届くというところからスタートします。

急なつかみに心をグッとつかまれます。

しかも、事故は車の脱輪が原因によるもので、そのタイヤが空を飛んでいるかのように空中に放り出されるように歩道の親子に向かっていくことから「空飛ぶタイヤ」という題名がついたところからはじまるので、あらすじが端的かつインパクト大です!

 

脱輪事故から始まる。中小企業と財閥グループの大手自動車会社の激闘を描いており、

大会社の立ち回りや部署間の意思疎通の遠さ・ヒエラルキー組織であるがゆえにトップの意向がいかに組織に影響を及ぼすかを描いたもので、これって実話なのか!?とついつい思ってしまうほど、現実味を帯びています。

これは楽しい、とストーリーを気にしつつ、会計士として何かひっかかるところがあるような作品でした。怒涛のストーリ展開に前のめりになりすぎ、会計士の本質と原作への興味から、おのずと映画鑑賞後の行動が決まりました。

もちろん、それでも映画鑑賞後の第一モーション:トイレ、第二モーション:パンフレットを買うという型は崩れませんが(≧▽≦)

 

 

会計士としての観点

※作中では一切、会計士は登場していませんでしたが・・※

今回の映画では、大手自動車会社の品質調査の信憑性という部分にメスが入れられています。あの大手企業が判断したんだからそうなんだろうと思ってしまうが、その思いこみに落とし穴が・・という誠実で真面目な日本企業では想像したくもないことです。

 

公認会計士の独占業務は公正な第三者の立場で財務諸表を監査証明することですが、一方的な情報開示が行われる場合に、その情報に信頼性を付与することが監査により可能になります。

それは、株主が投資→信用してる親友にお金を融資するとして、いかに相手が有名だったとしても、なんの裏付けのとれていない根拠に乗ることは難しいです。(オレオレ詐欺や詐欺師はそれを臨場感でなんとかしてしまうのでおそろしいですが。)

相手の情報をいかに裏付けをするかを突き詰めている会計士であれば、財務諸表以外でも活躍できるのではないか?という考えが検討されています。

特に、「数字」に対する情報には、単位が金額に限らず、会計士はしっかりした監査ツールがあります。さらに、内部統制の観点からも、組織の脆い箇所を炙り出す視点も兼ねそろえているため、そういった業務が増えてもいいと思いますが、まだその業務に対応するための十分なリソースや高い精度を誇れる準備(知識経験)がない点で進まないのだと思います。

「会計士の裏付けに誤りがあった」というのは、たとえ一個人や一組織の誤りだったとしても、世間は日本全体の公認会計士へ批判の目を向けると考えられるので、基本的に超保守的な展開になっていくことは目に見えていますが・・

それでも、納得いかないことについて、警視庁のように強制捜査はできないにしても間い入るジャッジメントはいてもいいのかなと思います。

 

今回の場合、自動車メーカー自身が事故の調査・原因究明を行っているところに独立性がない!それを警視庁は信用しているという背景に疑問が沸きました!

これは、例えばあなたがお父さんだとして、わが子とその数人の友達が事件を起こしました。その捜査を取り仕切るのもあなたです。さてわが子に原因があった場合どこまで親子によるバイアスを取り除けますか?といわれているようなものだと思います。

それは、劇中なら自社製品(たとえならわが子)ひいては、自分自身を守りたいと人間なら思ってしまいます。

独立した立場からの客観的評価ができる団体が世の中には必要なのではないかと考えさせられる作品でした!

 

本も買ってしまった

面白かったので、映画を観た足でそのまま本屋さんへ立ち寄りました。

そこで、原作を見つけたところ上巻・下巻と全2冊の長編小説であることを知り、これは劇中では表現しきれな方描写や、展開があるのではないかと購入。

劇中のイメージがあるのですいすい読め、作品の復習もかねて楽しく読み進めています。