500ページを超えるヘビーモンスター級の本でした。
しかも、まったく知識のない、「脳」に関する分野(神経科学)です。
いままで、脳についての知識が無にもかかわらず自己啓発本や心理学の本を読んでいましたが、原点である神経科学をかじるのはその数十倍魅力的です。
マクロである宇宙が未知であるのと同じように、ミクロの世界である脳についても未知の部分が多く、今回の主役である「グリア細胞」の発見の歴史は浅いそうです。
僕自身、ニューロンという言葉は聞いたことがありますが、「グリア細胞」という言葉は初めて聞きました。
未知の組織、グリアに、無知の読者が挑む!というノリで読んでみました!
本屋でぶらーっと本棚をみていたときに、なんとなく目に付いた本でした。
サッと手に取ってびっくりしました。
こ、この本500ページもある!!
250ページ前後でも読むのにかなりの時間をつかう自分にとって、未知の分野で500ぺ時は難しいと思いました。
ためしに、適当にページをめくって読んでみたのですが、アインシュタインの脳をひも解くダイヤモンド博士の話がありました。
どうせ専門用語だらけでわからないのではないかと思っていましたが、まるで小説のように、鮮明に状景と感情が映し出されていて読みやすいことにびっくりしました。
ここでビビッと来たのも何かの縁!と思い購入。
おもしろポイント
・グリア細胞という細胞は完全なわき役で、ニューロンを活躍させるための補助だと見向きもされなかったようですが、この細胞の可能性を発見した途端、いままで謎に満ちていた脳のしくみや病気の答えが出てきたようです。
その可能性の発見がどんなところで役に立っていたのかなどが数多くのエピソードで綴られています。しかも、ドラマのような読み物とされているところが驚きです。
・巧みなたとえ、秀逸な表現力(めっちゃわかりやすい)
著者は外国人で、日本語に和訳された本ですが、意味の分からない医学の世界ですが、たとえがちりばめられていてわかりやすいです。
知識を披露する本ではなく、読者のことをしっかり考えている本だと思います。
だれでも専門的な知識を持っていると思いますが、それをまったく知識のない人や子供に伝えるのはとても難しいと思います。しかし、神経という専門的な内容ですが、こうもわかりやすく伝わってしまう傑出した表現には畏敬の念を抱きます。
・ニューロンは有線通信→安全で高速の通信。グリア→無線LAN。なんと身体構造の中で、カルシウムウェーブ(?)とよばれる無線通信手段があるそうです。
ネットが無線通信を可能にして、携帯電話が誕生したのはここ数十年でありますが、グリアは人(生物)が誕生してから長い歴史の中ですでにその仕組みを当たり前の様に使っていたことに驚きました。
・ドキュメンタリー調で頭に入ってくる。
前半にニューロン~グリア細胞の説明、後半に事象という構成で、知識と実例が両立してるので、記憶に定着しやすい。
前半に、わかりやすくグリアの説明や、当時の研究員の苦難、発見、歓喜があり、後半に、とある村に謎の病気が!!などまるでアンビリバボーや仰天ニュース、世界丸見えのようなスリリングな実例とその解決に挑む研究者たちの飽くなき戦い。その後のグリア細胞や脳では何が起きていたのかという真実の説明が書いてあり、前半でいまいちわからなくても後半を読み進めていくうちに理解が進むようになっていました。
何よりも、いまいちわからなくても、物語として頭の中に入ってきました。
・実験動物としてラットはとてもかわいそうだと思いましたが、逆に、ラットが数多く犠牲になったおかげで、今の医学などが発展していくことを考えると、家畜動物と同じように、間接的に人の命を支えてくれている動物がいることに感動しました。
薬や最新医療によって人の命が救われる背景には、発明・実験段階で様々な人以外の動物がいることを改めて感じ、医療に対しての感謝の気持ちが沸きます。
本書には全く書いてありませんが、このグリアの無線通信のような力は、空間に残留思念をのこして、怪奇現象や幽霊というものをうんでいるのではないかと、こっそり妄想しております。(笑)
環境や、一緒にいる過ごす人によって人格や考え方が形成されるというのは、このグリアからでる周波数も関係しているのか興味深いです。
グリアという言葉自体初めて目にしましたが、それでも神経科学という世界の広さに触れられたことがうれしいです。
この本からの教訓も多く、
・親も子供も苦しい奇形児が生まれる可能性を限りなく抑えたい!妊婦さんには絶対にアルコールは飲ませたくない!
・子供には脳が成熟させる前に、いろいろな経験を積ませてあげたい!複雑な動きや思考は成熟しきっていない脳
・癌、脳の病気アルツハイマー型など、手遅れになる病気など、改めてその怖さと原因知ることで健康の尊さを再認識しました!